2030年世界はこう変わる

ブログを更新するのは2年半ぶりになります。しばらくの間、過去と未来を行き来しながら、これまでの世界、これからの世界を考えてみたいと思います。

これからの世界を考えるにあたり、米国国家情報会議発行の「2030年世界はこう変わる」を題材にしたいと思います。同書の位置づけについて、序章で立花隆氏が以下のようにまとめています。

これは一般大衆向けの読み物ではない。政府の政策文章でもない。アメリカの国家戦略の解説書でもない。アメリカの国家戦略を策定する者、ならびに、アメリカの国家戦略に関心を持つ者が基本的に頭においておくべき、近未来(15〜20年後)の世界のトレンドが書かれている。

まえがきでは、世界が変化するスピードが加速化していることを挙げ、以下の四点を述べています。

  1. 2030年前に中国やインドを含むアジアが世界をリードする
  2. 2030年まえに世界中の多くの国では中間所得層が主流になる
  3. 世界の人口が都市部に集中する
  4. テクノロジーの変化のペースが加速化する

本書は、第1章で「2030年の世界」を決定する4つの構造変化として、「個人の力の拡大」、「権力の拡散」、「人口構成の変化」、「食料・水・エネルギー問題の連鎖」を取り上げます。

メガトレンド1 個人の力の拡大

  • 貧困層5割(5億人)減る?
  • 台頭する新・中間所得者層
  • 購買力が衰えていく米国と日本
  • なくならない男女格差
  • 広がる「外部」との交流
  • 人類は、より健康に
  • イデオロギーの衝突」が不安材料

メガトレンド2 権力の拡散

  • 中国の覇権は短命?
  • 抜かれる先進国
  • 前例無き「覇権国家ゼロ」の時代へ

メガトレンド3 人口構成の変化

  • 進む高齢化
  • 縮む若者社会
  • 移民は諸刃の剣?
  • 都市化する世界

メガトレンド4 食料・水・エネルギー問題の連鎖

  • 食料、水、そして気候変動
  • エネルギー不足懸念は後退
  • 米国はエネルギー独立国へ
  • 再生可能エネルギーは不発

続いて、第2章では、世界の流れを変える6つの要素として、「危機を頻発する世界」、「変化に乗り遅れる「国家の統治力」」、「高まる「大国」衝突の可能性」、「広がる地域紛争」、「最新技術の影響力」、「変わる米国の役割」を取り上げます。

ゲーム・チェンジャー1 危機を頻発する世界

  • 負債が減少している先進国は3つだけ
  • 最も不安な国・日本
  • 失速する中国経済
  • インドの躍進

ゲーム・チェンジャー2 変化に乗り遅れる「国家の統治力」

  • 独裁から民主主義に移行中の国家は不安定
  • IT活用で統治力アップ?
  • 国連安保理世界銀行は「最新版」にアップデート?

ゲーム・チェンジャー3 高まる「大国」衝突の可能性

  • 国内紛争は減少傾向に
  • 高まる国家間紛争の可能性
  • 中国とインドが対立?
  • 米国vs中国
  • 水資源をめぐる争い

ゲーム・チェンジャー4 広がる地域紛争

  • 中東−民主化イスラム教の関係
  • 南アジア−3つのシナリオ
  • 東アジア−4つのシナリオ
  • 欧州−3つのシナリオ

ゲーム・チェンジャー5 最新技術の影響力

  • 情報技術
  • 機械化と生産技術
  • 資源管理技術
  • 医療技術

ゲーム・チェンジャー6 変わる米国の役割

  • 「覇権国」から「トップ集団の1位」に
  • 弱まる基礎体力

以上の「2030年の世界」を決定する4つの構造変化と世界の流れを変える6つの要素を踏まえて、2030年の世界について4つのシナリオをオルタナティブ・ワールドとして描きます。

2030年のシナリオ1 欧米没落型
2030年のシナリオ2 米中協調型
2030年のシナリオ3 格差支配型
2030年のシナリオ4 非政府主導型

これからメガトレンド、ゲーム・チェンジャー、オルタナティブ・ワールドを順に取りまとめてみたいと思います。